『ディープ・ルッキング』という本を読みました。
この本に出合ったのは、デイビッド・ホックニーつながり。東京都現代美術館で開催されているデイビッド・ホックニー展に行って、色の鮮やかさやパワーに圧倒されました。ネットで周辺情報などを見ていたところ、この本にたどりつきました。
この本のなかで、ディープ・ルッキングをしているアーティストとしてデイビッド・ホックニーが紹介されているのです。
この本の紹介文には「想像力を蘇らせる深い観察のガイド」とあり、これは読まなければと思い、Amazonで注文いたしました。
なぜこの本を読まなければいけないと思ったのか、それはじっくり観察するということができないと日ごろから感じていて、観察できるようになりたいと思っていたから。そのことについての記事はこちら。
この本でも、人がどれくらい絵の前にいるかという話がでてきます。さらに最近では絵の前で写真を撮る行為についても触れられています。
撮影可能な美術展では撮影している人多いですよね。ほぼ全部の写真を撮っている人を見ると、その写真を見ることはあるのかなと思ったりします。
この本では、絵の解説や具体的にどう見るのかということには、あまり細かくは書かれていません。絵を見るためのプロトコルとして持ち運べるカードが付いていますが、あえて持ち運ばなくてもよいくらい、シンプルです。
なので、最初はどうすればよいのかよくわからない気がしましたが、本には実践あるのみとあり、わからないことはわからないまま、とにかく絵を見るということをしてみました。時間をかけることを心がけて、すぐに言語化しない、絵に入り込む感じで。
その結果、これでいいのかどうかはさておき、これまでなら気づかなかったような色や形に気づけた(気がする)!
自分には手軽に回答を求める癖があるのですが、じっくりと絵と向き合う。そして絵の中に入り込むことで、本では「フロー状態」と言っていましたが、ナチュラル・ハイとでも言うのでしょうか、心地よい気分になりました。
なぜアートに心が魅かれるのか?単純に美しいから、きれいからと思っていましたが、それだけでなく、見ていることで心地い気持ち、まるでサウナに入った時のような感覚も得られるからなんですよね。
そうやって実践していった後に、もう一度本を読むと、最初に読んだときにはピンとこなかった記述が響いてきます。こうやってじっくりと味わうように本を読むことも人生の味わいな気がします。
とにかく、この本を読んでアートを「見る」ということへの意識が大きく変わりました。これからのアート鑑賞が楽しみ、楽しみ。